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全員が知っておくべき雇用や失業保険について

世界と比べた日本の現状

新型コロナウイルスの感染拡大によって国民を不安にさせる要因は大きく分けて2つある。

1つ目は健康面について。東京では先日1日の感染者数は200人超えし、収束する傾向はまだ見えていない。また東京よりも面積が大きく、人口が少ないニューヨーク州では死者数が1万人を超えている。
検査基準の違いから日本の感染者数と比較はできないが、死者数を見たら日本の医療は現時点では素晴らしいのではないかと思う。

2つ目は経済面について。これまで7都道府県にしか発令されていなかった緊急事態宣言が全国対象となった。

世界が自粛生活を過ごし、特にインバウンド客で経営している会社を継続するのは、かなり困難な状態だ。

飲食店においては自粛生活を促すために、夜8時までの営業を原則として要請している。地域によっては緊急事態宣言に伴い、休業要請に応じた飲食店には協力金を支給する所もある。

世界的に見ると、アメリカの失業保険申請数は1ヶ月で2000万人を超えるという悲惨な状況だ。

では、日本ではどうなのか。
解雇規制が諸外国に比べて強いとされる日本は、アメリカのように2000万人を超える失業者が直ぐに発生する事は考えにくい。

解雇の種類

そもそも日本の解雇ってどういうものがあるのか調べてみた。
解雇の種類は3つある。

①懲戒解雇
従業員が極めて悪質な規律違反や非行を行ったときに懲戒処分として行うための解雇。

よくニュースで見る、詐欺やセクハラなどで解雇処分が下された、などというものはこれにあたる。

②整理解雇
会社の経営悪化により、人員整理を行うための解雇。
次の4点をいずれも満たすことが必要。
① 整理解雇することに客観的な必要があること
② 解雇を回避するために最大限の努力を行ったこと
③ 解雇の対象となる人選の基準、運用が合理的に行われていること
④ 労使間で十分に協議を行ったこと

いわゆるリストラだ。様々な手法を採ったなか、それでも経営に苦しんだときに用いる最終手段となる。

③普通解雇
整理解雇、懲戒解雇以外の解雇。
労働契約の継続が困難な事情があるときに限られる。

今回のコロナウイルスに関係あるのは②の整理解雇だ。
先日、タクシー運転手が約600人解雇する方針を打ち出したのもこれだ。
(現在、一方的な解雇は不当だとして会社は訴えられているケースも…)

失業保険の種類

また、このような解雇を申し出された時に適用される失業保険は、どういったものなのか調べた。
失業保険の適用は2パターンに分けられる。

①自己都合で退職した場合
転職や独立のために退職した場合。雇用保険加入期間が12ヶ月以上あることが条件となる。この場合、給付日数は最大150日受け取れる。
②会社都合で退職した場合
会社の倒産やリストラによって退職した場合。こちらの場合、雇用保険加入期間が6ヶ月以上の場合適用される。給付日数は最大330日受け取れる。

どちらの場合も年齢や賃金日額(離職直前6カ月の賃金の1日当たりの単価)に応じて、50〜80%の範囲の給付率を受け取れる。

また、失業保険を最大日数受け取った方が得という考えも出てくる。それを防ぐために「再就職手当」というものが存在する。
これは早期の再就職を促すものであり、失業保険で生活する中で早期に就職が決まるほど高い一時金が給付される。

よって、今回のコロナの影響でタクシー会社の例のような解雇の場合は②のパターンに該当する。

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ここまで、解雇と失業保険についてまとめた。タクシー会社の整理解雇の例から見れるように、他の会社でもコロナを理由にリストラされる可能性は十分にありそうだ。

また、アルバイトやパートなどの非正規社員は一定期間経つと契約期間が切れる。その時に「契約満了」という理由で正社員よりも優先的に解雇される対象となる。

また、企業が安易にリストラをしないように、厚生労働省では「雇用調整助成金」が定められている。

雇用調整助成金とは、経済上の理由で企業の売り上げが減少しても、雇用の維持を図るために休業手当に要した場合、国が助成する制度。

1ヶ月5%以上の売り上げが落ちた場合、休業手当の80%(大企業は66%)、解雇を行わない場合は90%(大企業は75%)を国が負担する。
現在、6月30日までが新型コロナウイルスの緊急対応期間となっている。

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自分はまだ大学生であり、1年間休学して長期インターンをしている非正規社員だ。契約書を確認してみると、厚生年金保険や健康保険には加入していたが、雇用保険には加入されていなかった。

契約当時はまったく知識がない状態だったが、今こういうことを知ると、今後の考え方がまた変わってくるだろう。
今こういう危機状態だからこそ、多少ではあるが雇用、労働の制度について学べて良かったと思う。